【直行、直帰の許可と取消】
貴社における直行・直帰は、「本来は会社にて始業し、又は終業しなければならない」という原則に対する例外という位置づけをされていると思われます。そして例外を認めることについて「事前許可」制とし、その基準、目安を「労働時間を大幅に短縮できるかどうか」としているようです。そして、この「許可」を取り消すことが不利益変更にあたるかどうかというご相談だと思います。
結論を先に言えば、原則として不利益変更にはあたりません。直行や直帰は、業務上都合が良いから許可したわけです。それは、労働時間の問題でした。「許可取消」と表現しますが、実態は業務上の指示命令権の範疇ですし、その指示の内容は本来的な運用に近づけるものです。
【実態に即した対応】
一方で、不利益変更にあたらなければ、何をやっても良いというわけではありません。具体的な状況を確認する必要があります。直行又は直帰によって、仮に 2 時間短縮されていたとすれば、対象日について労働時間が 2 時間増えることになるわけです。例えば担当業務の範囲の見直し等、貴社として可能な対応はぜひ検討いただきたいと思います。もともと労働時間短縮の一環として認めた直行・直帰ですから、労働時間短縮については様々な角度からご検討ください。
【道路交通法】
白ナンバー 5 台以上使用する事業所は、安全管理者を選任し、警察署に届け出なければなりません。そして令和 4 年 4 月施行改正道路交通法により、「運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について当該運転者の状態を目視等で確認すること」とされます。さらに 10 月からは「目視等」に加えて「アルコール探知機を用いて確認」が義務づけられます。
同日複数回出入りがある場合は、その都度でなく開始前と終了後の確認で良いようです。直行直帰の際は、携帯型アルコール探知機を携帯させるなどした上で、電話等により運転者の応答の声の調子を確認するなどするものとされているようです。
悩ましいのは、記録することだと思われます。「目視等」、「酒気帯び確認」については、@確認者名、A運転者、B自動車登録番号等、C確認日時、D確認方法、E酒気帯びの有無、F指示事項、等を記録することが義務づけられます。
以上の内容は、インターネット等でも簡単に入手できる情報です。個別事案等は、警察署や道路交通法の専門家にご確認ください。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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