みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。
前回は、種類株式についての概要について説明させていただきました。
今回は、9種類の株式のうち、剰余金の配当に関する種類株式について説明させていただきます。
この規定は、商法時代から存在していましたし、現に大企業などはこれまでに多くの優先株式を発行してきました。この株式を発行する場合、剰余金に関して普通株式よりも優先する株式(優先株式)や、逆に、普通株式に劣後する株式(劣後株式)とすることも可能です。一般的には、優先株式とすることの方が圧倒的に多いように思われます。
また、優先株式の配当については、優先配当金をあらかじめ一定額に定めておく固定優先配当型と、配当金支払時の金利水準にスライドして優先配当金が定まる変動優先配当型があります。
【累積・非累積、参加・非参加】
優先株式については、累積型・非累積型の別、参加型・非参加型の別があります。
累積型とは、ある事業年度に定款所定の優先配当金額が支払われなかった場合に、翌期以降に未払優先額を繰越し、支払が補填されるもので、これに対し、非累積型とは、たとえ根気の優先配当額に不足があっても、不足分を翌期以降に繰り越さないとするものです。優先株式の株主からしてみれば、非累積型よりも累積型の方が魅力的な株式であると言えます。
続いて、参加型とは、優先株主が所定の優先配当額を受けた後、さらに残りの分配可能額からの配当も追加して受け取れる株式であり、非参加型とは追加して受け取れないとするものです。優先株式の株主からしてみれば、非参加型よりも参加型の方が魅力的な株式であると言えます。
通常は、上記のような定めを何もしなければ、累積型・非参加型であると解されております。
【活用事例】
剰余金配当優先株式は、配当について普通株式よりも優遇されるため、例えばベンチャー企業が資金を調達したい場合に、出資してくれた株主に対して普通株式よりも配当を優先させてインセンティブを与えるために発行されたり、議決権などを行使して会社の経営に口出しをすることよりも、金銭的な優遇を望む株主に対して、議決権制限を付した優先株式を発行して、経営の安定性を図る場合などに活用されています。
回答者 司法書士 安藤 功
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