みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。
今回は、一度解散・清算結了してしまった株式会社が再度復活をする場面についてお話ししたいと思います。
たとえば、平成5年に清算結了の登記をした株式会社名義の土地が残っていることが判明した場合、どのように対応するべきでしょうか。土地(資産)が残っているわけですから、本当は平成5年時点でも清算結了するべきではなかったことになります。
この土地に関して、この度、20年以上もの間当該土地を占有している人物Aが時効取得による所有権移転登記を検討しているとしましょう。
時効取得を主張しようとしているAは、土地の登記簿に所有者として載っている株式会社はすでに商業登記簿が閉鎖されていますが、法務局で閉鎖登記簿を取得することでその会社の当時の精算人を知ることができます。
Aとしては、ここを何とか糸口に時効取得の話を進めていかざるを得ません。
閉鎖商業登記簿謄本上は、清算人の住所まで記載されていますので、清算人と連絡をとる手段はあるのかもしれません。仮に連絡がとれれば、当該清算人に協力を仰ぎ、時効による所有権移転登記手続きに協力してもらうよう打診していくことになるでしょう。会社としては清算手続きが終了していないのに清算結了をしてしまったことになりますので、本来的には清算結了登記を抹消し、会社を復活させることを検討しなければいけません。
この土地の所有権は、実は清算結了よりも前に売買でAに移っていたのに、登記だけをしていないのであれば登記先例で法人を復活させずに当時の清算人個人の印鑑証明書、当時の法人の権利証などを使ってAへの所有権移転登記を可能とする方法がありますが、Aによる時効取得により所有権を移転するには、やはり株式会社を復活させたうえで、復活後の株式会社からAへの土地所有権移転登記を行うのが順当でしょう。
この場合の、株式会社復活手続きですが、「登記事項不存在による抹消」を登記の事由とし、清算結了の登記を抹消することになります。
添付書類としては、清算が結了していないことを証明するために、土地の登記簿や当時の清算人の上申書を付けていくことになりますが、かなり煩雑な手続きとなりますので、専門家と相談の上、対応していくことが解決の近道です。
回答者 司法書士 安藤 功
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