司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成26年5月号》
商号の選定について

 みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。

 今回は、あたらしく法人を設立する場合、既存の商号を変更する場合に、気を付けるべき点について書こうと思います。
 前回、外国人が日本で株式会社を作りたいとか日本に支店を持ちたいと相談を受けるケースが増えてきた旨お伝えしましたが、日本人が法人を設立したいというケースも同様に増えてきたように思います。
 法人設立の理由は、節税、業務分掌、信頼性の向上などさまざまなものがあるのかもしれません。
 法人を設立する、もしくは、既存の商号を変更する場合には、会社法、商業登記法に従い、変更後の商号で登記をする必要があります。同一所在場所において同一商号の会社が存在してしまうと、第三者が誤認するおそれがありますので、同一所在場所かつ同一商号での登記は認められていません。これ以外のケースでは登記手続的には申請が受理されることになります。
 ただし、会社法上には以下のような規定があります。

 何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称または商号を使用してはならない。
 2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 無事に法人の登記が完了しても、既存会社に類似する商号を用いたことで、侵害の停止(商号の抹消請求)や損害賠償を求められることがあります。不正競争防止法の観点からも、類似規定があり、せっかく愛着をもって決定した商号(社名)を後に変更せざるをえなくなるかもしれません。
 それだけではなく、会社法上は100万円以下の過料、不正競争防止法上は5年以下の懲役または500万円以下の罰金もしくは併科の可能性もありますので、事前にしっかりと調査の上、商号を選定する必要があります。
 設立時に限らず、社名を変更する場合にも同じことが言えますので、気をつけましょう。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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