司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成26年6月号》
株式の分割及び株式の無償割当てについて

 みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。

 今回は、株式の分割と株式の無償割当てについて説明したいと思います。
 株主に対して同一種類の株式を株式数に応じて平等に与える方法として上記2つの制度があります。
 両制度とも、株式の単価が高額であり市場において流動性が低下しているような状況下で、1株当たりの株価を下げ、市場流動性を向上させるために行われたりします。株式の総数も増加するため、これまで停滞していた市場の流動性が高まり、株式が取得しやすくなるなどの効果があります。

 両者は共通点がありながらも、以下のような違いもあります。
 (1)株式の分割においては自己株式の数も増加するのに対し、株式無償割当においては自己株式については割当てが生じない。
 (2)株式の分割においては自己株式を交付することはできませんが、株式無償割当てにおいては自己株式を交付することができる。
 (3)株式の分割においては同一種類の株式の数が増加するのに対し、株式の無償割当てにおいては同一または異種の株式を交付することができる。よって、株式の無償割当ての場合においては、A種類株式の無償割当てにより交付される株式をB種類株式とすることも可能です。
 (4)株式の分割は必ず基準日を設定しなければいけませんが、株式無償割当ては必ずしも基準日を設定する必要はない。
 (5)株式の分割の場合には株主総会の決議を経ることなく、発行可能株式総数を増加させることができるが、株式無償割当ての場合については、そのような規定が存在しないため、原則通りに株主総会の決議を経て、発行可能株式総数を増加させる必要があります。

 両者は似て非なる制度です。細かい要件なども異なりますので、上記いづれかを検討する際は、いつでもご相談ください。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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