司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成26年7月号》
取締役の責任免除・軽減について

 みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。

 今回は、取締役の責任について会社法に定める「責任の免除」、社外取締役の「責任限定契約」について説明したいと思います。まずは、以下2つの登記事例をご覧ください。

 (1)取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定
 当会社は、会社法第426条の規定により、取締役会の決議をもって、同法第423条の行為に関する取締役(取締役であったものを含む。)の責任を法令の限度において免除することができる。
 (2)社外取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定
 当会社は、会社法第427条の規定により、社外取締役との間に、同法第423条の行為による賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし、当該契約に基づく賠償責任の限度額は、法令が規定する額とする。

 これらは、取締役の責任に関する登記事例です。(1)は「責任の免除」、(2)は「責任の限定契約」を反映したものです。
 取締役が善管注意義務違反や忠実義務違反をした結果、会社に対して損害賠償責任を負う場合でも、以上のような登記があることで責任が免除されたり軽減されることがあります。

 取締役等とあるとおり、監査役についてもこのような定めがあります。
 (1)の責任免除は、委員会設置会社を除くと、「監査役設置会社(取締役が2人以上ある場合に限る)」で、「取締役(当該責任を取締役を除く)の過半数の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって免除する」ものです。
 これに対し、(2)の社外取締役等の責任限定契約は(1)のような細かい要件はなく、定款の定めを設け、かつ、定款に定めた責任限定契約を締結する予定の社外取締役について社外取締役として登記することになります。

 会社経営においては、高度な経営判断を強いられた結果、判断を誤り会社に巨額の損害を被ることも考えられます。それを恐れて取締役の積極的な経営戦略が立てられないという事態も考えられます。その回避のために、上記規定を適用するのも一つかもしれません。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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