司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成27年2月号》
抵当権と根抵当権の違いについて

 みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。
 今回は不動産登記における担保権について説明いたします。
 担保権とは、債務者(お金を借りる人)がその債務(借金)を履行(返済)できない場合に備えて、権利者(貸主)がその債権(貸金)を担保するために設定する権利のことを言います。
 担保権については、民法上、抵当権、根抵当権、質権、譲渡担保権などありますが、今回はその中でも抵当権と根抵当権の違いについて簡単に説明いたします。
 根抵当権も抵当権の一種ではありますが、、その性質は大きく異なります。

抵当権とは
 お金を借りた人がその後に返せなくなったときに、家や土地を競売にかけて、売却された代金の中からお金が回収されるというものです。 お金を借りたら抵当権を設定し、お金を返したら抵当権を抹消(前回参照)します。抵当権は「非占有型の担保物権」といわれ、抵当権が設定されていてもその目的物を債権者に引き渡す必要はなく(この点、質権と異なります)、所有権者である債務者は自由に利用・収益・処分することができるのが大きな特徴となります。例えば、住宅ローンを組むとマイホームに融資銀行の抵当権が付くケースがほとんどですが、この場合、借主はマイホームに自由に住み、改築し、売却することができます。つまり、住宅ローンをしっかりと返済しているうちは、銀行が家にたいして圧力をかけるようなことはありませんし、住宅ローンを返済すると、つけられていた抵当権は消滅することになります。

根抵当権とは
 これに対して、根抵当権とは、お金を何度借りても返しても、上限金額の範囲内ならそのつど抵当権を設定したり抹消したりせずにずっとそのままにしている抵当権のことをいいます。つまり、継続的に発生する一定の範囲内の不特定の債権を極度額の範囲内において担保するために設定される担保権であり、特定の債権を担保する抵当権とは異なります。例えば、A銀行がB社へ融資をする場合、抵当権の設定だと追加融資の際に新たな抵当権の設定もしくは増額変更が必要になるのに対し、根抵当権だと極度額の範囲内の継続的な融資であれば、B社に対する全ての融資債権が担保されることになるため、登記費用や時間的なロスを避けることが出来ます。根抵当権は、継続的な取引関係にある当事者間に生じる債権を担保するのに適していると言えます。
 通常、抵当権も根抵当権も銀行の融資が絡む場合に登記をする場面が多いですが、個人間、会社間、個人と会社との金銭の貸し借りにおいても担保権を設定することがありますので、どちらがその取引に適しているかなど選択に困った場合は司法書士へのご相談をされることをお勧めいたします。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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