司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成28年2月号》
〜相続放棄について〜

 皆さん、こんにちは。司法書士の安藤です。

 さて、今回は、最近立て続けに依頼がありました相続放棄について記載します。相続が発生した場合には、法律で決められた持分で相続(法定相続)をするか、相続人間で遺産分割協議をして遺産の帰属を決定する方法を取るのが一般的です。しかし、相続については必ずしもプラスの財産ばかりではありませんし、むしろプラスの財産よりも借金の方が多いケースもあります。また、遺産をめぐって相続争いが起こるような場合は、その争いに巻き込まれたくないために放棄することもあるかもしれません。もちろん、被相続人が遺した借金があったとしても、単純承認をしたり限定承認をしたりして債務を返済していくことも可能です。

【相続放棄の手続き】
 相続放棄はの手続きは、相続開始後に一定の手続きをしなければなりません。原則として、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に被相続人の最後の住所地の管轄する家庭裁判所に戸籍等の書類を添付のうえ、申し立てなければいけません。「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは、被相続人が死亡し自分が相続人になったことを知ったときです。つまり、被相続人の死亡・失踪宣告・先順位者の相続放棄などの事情を知り、その結果、自分が相続人となったことを知ったときということになります。もちろん、相続人が複数いるときは、この熟慮期間は格別というケースもございます。相続開始時から一定の期間が経過していた場合でも、ケースによっては相続放棄が認められることもありますので、あきらめる必要はございません。

【相続放棄の効果】
 相続放棄の効果としては、家庭裁判所が法規の申述を受理する旨の審判をすることによってその効力が生じ、その相続人は初めから相続人ではなかったものとみなされます。したがって、相続放棄をするとプラスの財産もマイナスの財産も承継することはありませんし、遺産の帰属をめぐる相続人間の争いに巻き込まれることもありません。

 相続放棄は、相続が発生する前にすることはできません。また、相続放棄をしたくても複雑な書類の収集に時間をとられ、気が付けば熟慮期間である3ヶ月を経過してしまっていたり、相続放棄手続き前に相続財産の処分・隠匿行為により単純承認をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなるケースもありますので、まずは専門家に相談することをお勧めします。

回答者  司法書士 安藤 功
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司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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