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司法書士のつぶやき
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滞納処分による差押えの登記について |
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皆さん、こんにちは。司法書士の安藤です。今回は、滞納処分による差押えの登記について触れてみたいと思います。 例えば、ある土地を取得しようとした場合、まずは当該土地が誰の所有であるかを調べるために、法務局で全部事項証明書(登記簿)を取得することから始めます。その場合に、「差押 債権者 財務省」と登記されていたらいかがでしょうか。所有者は判明したとしても、何かおかしい!と警戒することでしょう。 そもそも、この差押えの登記は、不動産の処分を制限する登記であり、この登記がされてしまった後は、所有権移転登記や抵当権設定登記は、差押債権者に対抗することが出来ず、たとえ当該土地が他の者に売却され所有権移転登記がされたとしても、抹消されてしまうことになります。 特に、債権者が財務省や市などの場合は、今回のように国税や地方税等を滞納したことによる差押えであり、通常の差押えが裁判所への強制執行の手続きを経てなされる登記に対し、滞納処分による差押えの登記は、税の徴収職員が滞納者の特定の財産に直接することができます。 このように徴収職員による差押えがなされた場合は、この状況を打破しない限りは、売却や担保提供もすることができません。この差押えを解除する方法としては、いくつかパターンはあるものの、原則的には滞納額全額を返済するしか方法はありません。 つまり、この土地を購入しようと考えた場合は、売主に対し事前に滞納を解消してもらうよう交渉するか、売買代金から税を支払うのと同時に差押えを解除してもらうよう税収職員と事前に打合せをしていただくことになります。不動産仲介業者が絡んでいる場合は、業者さんを通じて上記すり合わせを行うことになりますが、滞納処分による差押えの登記(通常の差押えを含む)がある場合は、一般的な不動産の売買に比べ、更に難易度が高く難しい調整が必要となりますので、不動産仲介業者や司法書士などの専門家としっかりと連携を取りながら話を進めていくことが、失敗しない近道だと考えます。 回答者 司法書士 安藤 功
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