司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成28年12月号》
法人設立時の資本金振込のなぞ

 皆さん、こんにちは。司法書士の安藤です。
 当事務所では月に数件の法人設立のご依頼を受けますが、株式会社設立時の資本金の振込について、よく質問を受けることがある点について触れてみたいと思います。

 ご存知のとおり、株式会社を設立する場合は、現在は資本金額が1000万円以上なければならないなどの取り決めはなく、1円からでも設立が可能です。
 通常、資本金100万円の会社を設立(出資方法は金銭での出資)する予定であれば、原則として発起人A名義の口座に100万円を振り込み又は預け入れる必要があります。

 ところが、依頼者によっては、諸事情あってか色々な振り込み方をされるケースがあります。
 場合によっては、もう一度振り込みなおしていただく必要があるのではないかと迷うケースも見受けられます。以下に数例を挙げてみましょう。

@発起人以外の名義の口座に振込した場合   →発起人からその口座名義人宛の資本金代理受領の委任状を作成し、添付すればよい。
 *「発起人と代表取締役が同一ではない場合において、代表取締役名義の口座に振り込んでしまった。」といった場合に利用されます。

A複数人が発起人となる場合において、1人が他の人の分もまとめて振り込んだため、内訳がわからない場合  →払込証明書の中で、「発起人Aが発起人Bの出資分を代理で払い込んだ」事実が記載してあればよい。
 ただし、共同出資の場合は後に出資割合で揉めた場合に備えて、誰がいくら払い込んだか証明できるよう、たとえ定款に定めていたとしても明確に分けて振込しておいた方が良いとは思います。

B多めに振り込んでしまった場合  →例えば、「200万円とする予定だったけど、やっぱり100万円にしたい」「海外から振り込んだため、日によってレートが異なるので、少し多めに振り込んだ」などの場合にあり得ますが、全く問題ありません。通常通りの払込証明書の添付で、問題なく登記できます。

C数回に分けて振り込んでいる場合  →全く問題ありません。通常通りの払込証明書の添付で、問題なく登記できます。

 法務局的には、定款で定めた資本金の額が出資されていれば、少し多めに振り込んでいようが、何回かにわけて振り込んでいようが、他人名義で振り込んでいようが、あんまり気にしないようです。
 深く考えるとできないケースもあるように思ってしましますが、法務局はこの点に関しての取り扱いは緩いのですね。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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