土地家屋調査士の仕事って?

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!土地建物のワンポイント 《平成25年1月号》
相続人から行う登記について

 今月号は相続人から行う表示に関する登記について、先例等から考えてみたいと思います

 1.共有の土地又は建物に関する申請を共有者の1人からする場合の添付書類(登研111号)
 被相続人名義で登記されている不動産について共同相続人中の1人から各種の申請(分割・合併を除く。)をする場合には、その申請者の戸籍抄本を添付すれば足り、共同相続人全員の戸籍謄抄本の添付を要しない。

 上記は、表示に関する登記で民法上の保存行為として考えられています。ですので、土地地積更正登記や土地の処分行為に当たらない表示登記に関しては、相続人の一人から申請することが出来ます。土地分筆登記や合筆の登記についてですが、下記を見てみましょう。

 2.相続人の一部からする分筆登記の申請(登研229号)
 亡甲の相続人乙、丙、丁がある場合に、A地をA1、A2に分割し、A1を乙、A2を丙が相続する旨の遺産分割協議書を、相続を証する書面の一部として申請書に添付し、乙丙からA地の分筆登記の申請をすることができる。

 この場合、遺産分割協議書がありますので、相続人の一人から申請が出来ます。
 しかし、遺産分割協議書などの所有権証明書が無ければ、相続人の一人から申請はできません。次に建物の登記について説明します。

 3.建物の表示の登記を被相続人名義とする建物の表示の登記を相続人の1人の申請の可否(登研242号)
 相続人のうち1人から、被相続人名義にする建物の表示の登記の申請は、受理できない。

 相続人から被相続人の名義で表示の登記をすることは出来ないと記載しております。他の相続人の権利を侵害するおそれがあるためです。

 4.建物の滅失登記申請(登研357号)
 被相続人名義である権利に関する登記のない建物の取壊しによる滅失登記の申請は、その相続人から直接申請することができる。

 建物の滅失登記は、建物そのものが現在、存していないので、相続人の一人から申請することが出来ます。これも、保存行為として考えられています。

 全般に財産を守る行為は相続人の一人から行えることになりますが、反対の処分行為は相続人全員から申請することと考えられています。
今月は以上です。

回答者 土地家屋調査士 福田 憲太郎
福田土地家屋調査士事務所
土地家屋調査士 福田 憲太郎
福岡市対馬小路4-1-101
TEL092-263-5051 FAX092-263-5041
HP: http://www.tochi-con.jp
                     前へ<<               >>次へ
土地家屋調査士の仕事って?リストに戻る