平成22年度の税制改正でグループ法人税制(組織再編税制や連結納税制度は除きます。)が創設されました。
対象となる法人は少ないかもしれませんが,グループ会社があるところは,影響があるかもしれません。
平成22年10月1日以後の取引から改正されるものや,平成22年4月1日以後に開始する事業年度から改正されるものなどがありますが,グループ法人税制の適用を受けるのか,適用を受ける場合,改正前までに何かすべきことはないかなど,確認をしておいた方がよろしいのではないでしょうか。
1,完全支配関係がある法人間の譲渡損益調整資産の譲渡
@ 取扱い概要
イ 譲渡損益調整資産の譲渡時は,その譲渡損益を繰り延べる。
ロ 譲受法人において,その譲渡損益調整資産の譲渡,償却その他一定の事由が生じたときに,その繰り延べた譲渡損益を計上する。
A 適用時期
平成22年10月1日以後に行う譲渡損益調整資産の譲渡,組織再編成について適用
2,完全支配関係がある法人間の寄附
@ 取扱い概要
イ 受贈益⇒全額益金不算入
ロ 寄附金⇒全額損金不算入
A 適用時期
平成22年10月1日以後に受ける受贈益の額又は支出する寄附金の額について適用
3,完全支配関係がある法人間の現物分配
@ 取扱い概要
現物分配のうち,適格現物分配の要件を満たすもの
イ 現物分配法人⇒帳簿価額で譲渡したものとして,移転した資産の譲渡損益を認識しない。
ロ 被現物分配法人⇒移転を受けた資産は,現物分配法人の帳簿価額を引き継ぎ,移転を受けたことによる収益は,益金の額に算入しない。
A 適用時期
平成22年10月1日以後に行う現物分配について適用
4,完全支配関係がある法人間の受取配当等
@ 取扱い概要
完全子法人株式等につき受ける配当等の額については,負債利子を控除せず,その全額が益金不算入
A 適用時期
平成22年4月1日以後に開始する事業年度から適用
5,完全支配関係がある法人間の自己株式の譲渡等
@ 取扱い概要
完全支配関係がある他の内国法人から,みなし配当事由による資産の交付を受けた場合,みなし配当のみ発生し,株式の譲渡損益又は株式の消滅損は発生させない。この場合の株式の譲渡損益又は株式の消滅損は,資本金等の額として処理する。
A 適用時期
平成22年10月1日以後に生じる事由について適用
6,残余財産が確定した場合の未処理欠損金の引継ぎ
@ 取扱い概要
完全支配関係がある他の内国法人で当該内国法人が発行済株式等の全部又は一部を有するものの残余財産が確定した場合,その残余財産が確定した法人の未処理欠損金額(残余財産が確定した日の翌日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額)は,その法人の株主である法人の欠損金額とみなして,欠損金の繰越控除を適用する。(所定の場合は引継制限がある。)
A 適用時期
平成22年10月1日以後に解散する法人の残余財産が確定する場合について適用
7,中小企業向け特例措置の判定基準
@ 取扱い概要
資本金の額が5億円以上の法人との間に完全支配関係がある法人については,期末資本金の額が1億円以下であっても次の規定は適用しない。
イ 軽減税率
ロ 特定同族会社の特別税率の不適用
ハ 貸倒引当金の法定繰入率
ニ 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
ホ 欠損金の繰戻しによる還付制度
A 適用時期
平成22年4月1日以後に開始する事業年度から適用
回答者 税理士 鵜池 隆充
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