税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《平成22年9月号》
背広・制服等の支給による経済的利益

 例えば,「背広や革靴は,仕事の時しか着用しないので,これらを会社で購入した場合,これらの費用は,会社の経費にできるか?」というようなご質問をいただくことがありますが,このような件に関する税務上の取扱いは,次のとおりとなっています。

 給与所得者のうち,その職務の性質上制服を着用すべき人(例えば,警察官,ガードマン,自衛官,鉄道職員など)に対し,使用者が,その職務の性質上欠くことのできない制服その他の身回品を支給又は貸与した場合,その支給又は貸与を受けたことによる経済的利益については,所得税は非課税となっています。
 また,専ら勤務場所において着用する事務服,作業服等(例えば,銀行等の窓口担当者,事務職員,工場の作業員などに対し,着用を義務づけている制服・作業服等)についても同様に非課税とされています。

 これに対し,勤務場所以外でも自由に使用できるような背広,ワイシャツ,ネクタイ,靴下,靴などについては,たとえ,着用を義務づけていたとしても,これらを支給したことによる経済的利益については,所得税は非課税とはなりません。

【非課税所得】(所法9@六)
 次に掲げる所得については,所得税を課さない。
 六 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの

【非課税とされる職務上必要な給付】(所令21二,三)
 所得税法第9条第1項第6号(非課税所得)に規定する政令で定めるものは,次に掲げるものとする。
 二 給与所得を有する者でその職務の性質上制服を着用すべき者がその使用者から支給される制服その他の身回品
 三 前号に規定する者がその使用者から同号に規定する制服その他の身回品の貸与を受けることによる利益

【制服に準ずる事務服,作業服等】(所基通9-8)
 専ら勤務場所のみにおいて着用する事務服,作業服等については,所得税法施行令第21条第2号及び第3号に規定する制服に準じて取り扱って差し支えない。

【債務の免除による利益その他の経済的な利益】(法基通9-2-9(10))
   法人税法第34条第4項≪役員給与≫及び法第36条≪過大な使用人給与の損金不算入≫に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは,次に掲げるもののように,法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等(役員及び同条に規定する特殊の関係のある使用人をいう,以下9-2-10までにおいて同じ。)に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすもの(明らかに株主等の地位に基づいて取得したと認められるもの及び病気見舞,災害見舞等のような純然たる贈与と認められるものを除く。)をいう。
(10)役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額

【給与としない経済的な利益】(法基通9-2-10)
 法人が役員等に対し9-2-9に掲げる経済的な利益の供与をした場合において,それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり,かつ,当該法人がその役員等に対する給与として経理しなかったものであるときは,給与として取り扱わないものとする。

 たとえ,背広や革靴を仕事以外で着用しなかったとしても,これらの購入費用を会社が負担した場合,一般的には,これらの購入費用は,その支給を受けた役員又は使用人に対する給与となります。
 よって,
 @ 支給を受けた者が役員である場合,その負担した費用の額に相当する金額は,役員給与となり,それが定期同額給与に該当しないとき,又は,定期同額給与に該当しても過大役員給与となるときには,負担した法人の方では損金不算入となります。
 A 現物給与を支給したことになりますので,負担した法人は,源泉所得税を徴収する必要があります。
 B 支給を受けた役員又は使用人の方では,負担してもらった費用の額に相当する金額の給与の支給を受けたことになりますので,その分に対応する所得税・住民税が発生します。

回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
〒810-0073福岡市中央区舞鶴2-4-13九州DKビル6階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
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