税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《平成22年11月号》
有価証券の評価損

 経済財務相は19日,10月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出し,景気の基調判断を「持ち直してきている」から「足踏み状態となっている」に弱めました。(日経新聞 平成22年10月20日の記事より)
 先行き不透明で,円高はどこまでいくのかという気がしますし,株価もなかなか上がりません。
 所有している株式の時価が下落しているというところも多いのではないでしょうか。

 株式の評価損(含み損)は,法人税法上,原則として損金不算入です。
 しかし,特定の事実が生じた場合で,一定の要件を満たすときには,その株式の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額した部分の金額のうち,所定の金額を損金の額に算入することができます。

【資産の評価損の損金不算入等】(法法33@,A)
 @ 内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には,その減額した部分の金額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない。
 A 内国法人の有する資産につき,災害による著しい損傷により当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなったことその他の政令で定める事実が生じた場合において,その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは,その減額した部分の金額のうち,その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は,前項の規定にかかわらず,その評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する。

【資産の評価損の計上ができる事実】(法令68@二)
  法人税法第33条第2項(特定の事実が生じた場合の資産の評価損の損金算入)に規定する政令で定める事実は,物損等の事実(次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める事実であって,当該事実が生じたことにより当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなったものをいう。)及び法的整理の事実(更生手続における評定が行われることに準ずる特別の事実をいう。)とする。
 二 有価証券 次に掲げる事実
  イ 第119条の13第1号から第3号までに掲げる有価証券(第119条の2第2項第2号に掲げる株式又は出資に該当するものを除く。)の価額が著しく低下したこと。
  ロ イに規定する有価証券以外の有価証券について,その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため,その価額が著しく低下したこと。
  ハ ロに準ずる特別の事実

【関連通達】
 @ 上場有価証券等の著しい価額の低下の判定(法基通9-1-7)
   法人税法施行令第68条第1項第2号イ≪上場有価証券等の評価損の計上ができる事実≫に規定する「有価証券の価額が著しく低下したこと」とは,当該有価証券の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり,かつ,近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとする。
  (注)一 同号イに規定する「第119条の13第1号から第3号までに掲げる有価証券」は,法人税法第61条の3第1項第1号≪売買目的有価証券の期末評価額≫に規定する売買目的有価証券か否かは問わないことに留意する。
     二 本文の回復可能性の判断は,過去の市場価格の推移,発行法人の業況等も踏まえ,当該事業年度終了の時に行うのであるから留意する。
 A 上場有価証券等以外の有価証券の著しい価額の低下の判定(法基通9-1-11)
   9-1-7≪上場有価証券等の著しい価額の低下の判定≫は,法人税法施行令第68条第1項第2号ロ≪上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる事実≫に掲げる有価証券の価額が著しく低下したことの判定について準用する。
  (注)省略  B 法基通9-1-8〜法基通9-1-15の2
   紙面の都合上,割愛します。

【国税庁のホームページより】
上場有価証券の評価損に関するQ&A(平成21年4月)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/090400/index.htm

 所有している資産の価値が下がらないことがなによりですが,お持ちの株式の時価はどのようになっていますでしょうか。

回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
〒810-0073福岡市中央区舞鶴2-4-13九州DKビル6階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
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