前回,創設されました「雇用促進税制」について取り上げましたが,平成23年度税制改正法案から分離・修正され,平成23年6月22日に成立し,平成23年6月30日に公布・施行されました『現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律』の主な項目は,次のとおりです。
≪個人所得課税≫
【金融証券税制】
@ 上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る10%軽減税率(所得税7%,住民税3%)の適用期限の2年延長
A 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税(いわゆる「日本版ISA」)についての所要の措置
B 先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用対象の見直し
C 上場株式等に係る配当所得の分離課税等の対象とならない大口株主等が支払を受ける配当等の要件についての見直し
D 特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について,特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲の見直し
【租税特別措置等】
(廃止・縮減等)
@ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の見直し
A 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例についての見直し
【その他】
@ 交通用具使用者の通勤手当の非課税について,交通用具使用者が交通機関を利用するとした場合に負担することとなる運賃相当額まで非課税限度額を上乗せする特例の廃止
≪資産課税≫
【租税特別措置等】
(延長・拡充等)
@ 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等について,適用対象となる住宅取得等資金の範囲に,住宅の新築等に先行してその敷地の用に供される土地等を取得する場合における当該土地等の取得のための資金を追加
A 不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限の2年延長
≪法人課税≫
【法人税制】
@ 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の導入に伴う所要の措置
A 100%グループ内の法人に係る税制等に係る所要の見直し
B 棚卸資産の評価について,切放し低価法の廃止
C 法人税の中間納付制度について,仮決算による中間税額が前事業年度の確定法人税額の12分の6を超える等の場合には,仮決算による中間申告書を提出できないこととする
【中小企業税制】
@ 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る所定の制度については,100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人には適用しない
【雇用促進税制】(新設)
@ 雇用者の数が増加した場合の特別税額控除の創設(所得税についても同様)
≪消費課税≫
【その他】
@ 消費税の事業者免税点制度における免税事業者の要件についての見直し
A 課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除できる消費税の制度については,その課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合には年換算)以下の事業者に限り適用する
〜国税庁のホームページから〜(平成23年8月19日現在)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shotoku/h23kaisei.pdf
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2011/pdf/all.pdf
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/h23aramashi.pdf
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/joto-sanrin/h23aramashi.pdf
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/inshi/pdf/1107.pdf
回答者 税理士 鵜池 隆充
|