今回も『現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律』の中から,消費税の事業者免税点制度における免税事業者の要件に関する改正について取り上げます。
T 現行の制度
1,消費税の納税義務の免除の概要(消法9@,C)
事業者のうち,その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者については,課税事業者になることを選択した場合を除き,その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等について,消費税の納税義務が免除されます。
2,基準期間(消法2十四)
イ 個人事業者
その年の前々年をいいます。
ロ 法人
その事業年度の前々事業年度(当該前々事業年度が1年未満である法人については,その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいいます。
U 改正の内容
1,前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例(新消法9の2@)
個人事業者のその年又は法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合において,当該個人事業者又は法人(消費税法第9条第4項の規定による届出書の提出により消費税を納める義務が免除されないものを除きます。)のうち,当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度に係る特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるときは,当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度における課税資産の譲渡等については,消費税の納税義務免除の規定(消費税法第9条第1項本文)は適用されません。
2,上記1の特定期間における課税売上高とすることができるもの(新消法9の2B)
上記1の規定を適用する場合においては,上記1の個人事業者又は法人が同項の特定期間中に支払った所得税法第231条第1項(給与等,退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する支払明細書に記載すべき同項の給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものの合計額をもって,上記1の特定期間における課税売上高とすることができます。
3,特定期間(新消法9の2C)
イ 個人事業者
その年の前年1月1日から6月30日までの期間
ロ その事業年度の前事業年度(7カ月以下であるものその他の政令で定めるもの(次号において「短期事業年度」といいます。)を除きます。)がある法人
当該前事業年度開始の日以後6カ月の期間
ハ その事業年度の前事業年度が短期事業年度である法人
その事業年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他の政令で定めるものを除きます。)開始の日以後6カ月の期間(当該前々事業年度が6カ月以下の場合には,当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)
4,適用時期(附則22)
新消費税法第9条の2の規定は,平成25年1月1日以後に開始する同条第1項に規定する個人事業者のその年又は法人のその事業年度について適用されます。
回答者 税理士 鵜池 隆充
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