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税金ワンポイント
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代償分割又は換価分割と譲渡所得@ |
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共同相続人が相続財産を分割する方法としては,@この宅地は誰に,この株式は誰にというように,個々の相続財産をそれぞれに分割するいわゆる現物分割の方法,A相続財産のうち,現物は共同相続人中の1人又は数人が取得し,その現物を取得した者に他の相続人に対する債務を負担させて遺産の分割を行ういわゆる代償分割の方法,又は,B相続財産を売却して金銭に換価し,その換価代金を分割するいわゆる換価分割の方法とがあります。
【代償分割】
A 代償分割とは,遺産の全部又は一部を現物で共同相続人中の1人又は一部の者に取得させ,その代わりに,取得者に対して他の相続人に代償金を支払うべき債務を
負担させる分割方法をいう。この場合には,その後当該遺産を処分するか否か,その時期・内容等はすべて取得者の自由に決定しうるところであり,これを譲渡する
ことによって得られる所得は,取得者のみに帰属し,譲渡所得に対する所得税は,同人が負担すべきものである。代償金を支払うために当該遺産を処分する場合も,
事情は変わらない。(横浜地裁昭和63年(行ウ)第15号所得税決定処分無効確認等請求事件【判示(6)】) (TAINS)Z186-6797より引用
2,代償分割に係る資産の取得費(所基通38-7)
【換価分割】 A 換価分割とは,共同相続した遺産を直接分割の対象とせず,まず,これを未分割の状態で換価し,その対価として得られる金銭を共同相続人間で分割する方法をい う。この場合に遺産を処分するのは,形式上は共同相続人中の特定の者が代表してその名で行うこともあろうが,実質的には共同相続人全員であり,したがって,当 該譲渡所得は全員に帰属し,これに対する所得税は全員が負担すべきことになる。(横浜地裁昭和63年(行ウ)第15号所得税決定処分無効確認等請求事件【判示(7)】) (TAINS)Z186-6797より引用
B 換価分割においては,共同相続した現物を直接に分割の対象とせずに,共同相続人全員がその未分割の現物を処分するか否か,処分の時期,内容等を決めて処分す
ることになり,それを処分(譲渡)した場合に得られる譲渡代金は共同相続人全員に帰属するが,各相続人は遺産分割によって分割取得した換価代金相当の不動産持
分を相続によって取得しこれを譲渡して換価代金を得たことになるから,各相続人に課税される所得税額は,各相続人が受領した換価代金を譲渡所得に係る総収入金
額として課税されるものと解するのが相当である。(平17.5.18裁決) 国税不服審判所 公表裁決事例等の紹介より引用
次号へつづく
回答者 税理士 鵜池 隆充
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