税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《平成25年12月号》
重加算税@
 今回は,重加算税について取り上げます。

T 重加算税(国通法 68)
 @ 第 65 条第 1 項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(同条第 5 項の規定の適用がある場合を除く。)において,納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし, 又は仮装し, その隠ぺいし, 又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは, 当該納税者に対し, 政令で定めるところにより, 過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし, 又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは, 当該隠ぺいし, 又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え,当該基礎となるべき税額に 100 分の35 の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

 A 第 66 条第 1 項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第 5 項若しくは第 6 項の規定の適用がある場合を除く。)において,納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし, 又は仮装し, その隠ぺいし, 又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず, 又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは, 当該納税者に対し, 政令で定めるところにより, 無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし, 又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは, 当該隠ぺいし, 又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え, 当該基礎となるべき税額に 100 分の40 の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

 B 前条第 1 項の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第 2 項若しくは第 3 項の規定の適用がある場合を除く。)において, 納税者が事実の全部又は一部を隠ぺいし, 又は仮装し,その隠ぺいし, 又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつたときは, 税務署長は, 当該納税者から, 不納付加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし, 又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは, 当該隠ぺいし, 又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る不納付加算税に代え,当該基礎となるべき税額に 100 分の 35 の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を徴収する。

U 最近の裁決事例−国税不服審判所ホームページより
 (過少に計上された売上げには隠ぺい仮装が認められ,他方で,推計の方法により否認した経費には隠ぺい仮装は認められないとした事例) 平成 25 年 2 月 25 日裁決

 《事案の概要》
 本件は, ○○業を営む審査請求人(以下「請求人」という。)が, 原処分庁の勧奨に従い,所得税並びに消費税及び地方消費税の各修正申告書を提出したところ, 原処分庁が, 重加算税の各賦課決定処分を行ったのに対し, 請求人が, 上記各修正申告は強迫等によりさせられたものであるから無効であるなどとして、当該各賦課決定処分等の全部又は一部の取消しを求めた事案である。

 《裁決要旨》
 請求人は,過少申告の原因は単なる計算誤りであり隠ぺい仮装の行為はない旨主張する。しかしながら,請求人は, 出面帳に毎日の業務及び売上金額等を記載し, また, 預金通帳で入金状況をチェックしてその入金状況を更に出面帳に記すなどし, 日頃から収入の管理に努めており,自己の収入金額を正しく把握していたものと認められるところ,7 年にわたりほぼ連続して, 各収支内訳書の「上記以外の売上先」欄のみ過少に記載することにより多額の収入を申告せず, さらに, 調査当初において過少である理由について曖昧な説明に終始していたものである。そうすると, 請求人は, 作為的に収入金額を過少に記載した各確定申告書及び各収支内訳書を提出して多額の収入を意図的に申告せず, 更には調査当初において過少申告の意図を隠そうとしていたものと認められる。したがって, 請求人の過少申告は, 当初から所得を過少に申告することを意図し, その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で行われたものといえるから, 重加算税の賦課要件を満たすと認めるのが相当である。もっとも,必要経費については, 本人所得率を基に算出した必要経費の額が,当初申告額を下回る年分と上回る年分があり, このような必要経費の額の動きをみると, 特段, 請求人において必要経費を過大に計上しようとした意図を推認することはできず, 他に必要経費につき, 請求人に同意図を認めるに足りる証拠もないから, 必要経費部分に関する請求人の過少申告行為は,重加算税の賦課要件を満たさない。
                                                     次号へ続く

回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
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