自動車や自転車等の交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。この改正は,平成 26 年 10 月 20 日に施行され,平成 26 年 4 月 1 日以後に支払われるべき通勤手当(同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものを除きます。)について適用されます。
1,交通用具で通勤している方の通勤手当の「改正前」の1か月当たりの非課税限度額
@ 通勤距離が片道2キロメートル未満である場合
0円(全額課税)
A 通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合
4,100円
B 通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合
6,500円
C 通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合
11,300円
D 通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合
16,100円
E 通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合
20,900円
F 通勤距離が片道45キロメートル以上である場合
24,500円
2,交通用具で通勤している方の通勤手当の「改正後」の1か月当たりの非課税限度額
@ 通勤距離が片道2キロメートル未満である場合
0円(全額課税)
A 通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合
4,200円
B 通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合
7,100円
C 通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合
12,900円
D 通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合
18,700円
E 通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合
24,400円
F 通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合
28,000円
G 通勤距離が片道55キロメートル以上である場合
31,600円
3,改正後の非課税規定の適用
改正後の所得税法施行令第20条の2の規定(以下「非課税規定」といいます。)は,平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用されます。
なお,次に掲げる通勤手当については,改正後の非課税規定は適用されません。
@ 平成26年3月31日以前に支払われた通勤手当
A 平成26年3月31日以前に支払われるべき通勤手当で平成26年4月1日以後に支払われるもの
B @又はAの通勤手当の差額として追加支給されるもの
4,課税済みの通勤手当についての精算
@ 既に支払われた通勤手当については,改正前の非課税規定を適用したところで所得税及び復興特別所得税の源泉徴収が行われていますが,改正後の非課税規定を適用した場合に過納となる税額は,本年の年末調整の際に精算することになります。
【参考】国税庁ホームページ〜年末調整で精算する際の源泉徴収簿の記載例〜
http://www.nta.go.jp/gensen/tsukin/pdf/02.pdf
A 既に支払われた通勤手当が改正前の非課税限度額以下である方については,この精算の手続きは,不要です。
B 年の中途に退職した方など本年の年末調整の際に精算する機会のない方については,確定申告により精算することになります。
5,給与所得の源泉徴収票の記入
@ 給与所得の源泉徴収票の「支払金額」欄には,非課税とされる部分の通勤手当の金額を除いた金額を記入します。
A 年の中途に退職した方などに対し,既に給与所得の源泉徴収票を交付している場合には,「支払金額」欄を訂正するとともに,「摘要」欄に「再交付」と表示した給与所得の源泉徴収票を作成し,再度交付します。
回答者 税理士 鵜池 隆充
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