税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《平成28年6月号》
退職金に係る法定調書

T退職所得の源泉徴収票
1,退職所得の源泉徴収票
 居住者に対し国内において所得税法第 30 条第 1 項(退職所得)に規定する退職手当等( 所得税法第 200 条(源泉徴収を要しない退職手当等の支払者)の規定によりその所得税を徴収して納付することを要しないものとされる退職手当等を除きます。)の支払をする者は, 財務省令で定めるところにより, その年において支払の確定した退職手当等について, その退職手当等の支払を受ける者の各人別に「退職所得の源泉徴収票」 2通を作成し, その退職の日以後1か月以内に,1通を税務署長に提出し, 他の1通を退職手当等の支払を受ける者に交付しなければなりません。 なお,税務署への提出については,その年中に退職した受給者分を取りまとめて翌年 1 月 31 日までに提出しても差し支えありません。

2,税務署への提出範囲
 その年中に支払が確定した,法人( 人格のない社団等を含みます。 ) の役員(取締役,執行役,会計参与,監査役,理事,監事,清算人,相談役,顧問等)に対して支払う退職手当等

3,死亡による退職の場合
 死亡により退職した者に係る退職手当等で, その者の死亡後に支給期の到来するもののうち相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては, 所得税は課税されず, 「退職所得の源泉徴収票」 ではなく,「退職手当等受給者別支払調書」を提出することとなります。
 なお, 死亡した者の退職金であっても, 死亡後3年を経過してから支給が確定したものについては,相続税の課税価格計算の基礎に算入されず, 遺族の一時所得として所得税の課税対象となりますが, この場合には, 法定調書の提出を要しません。

U 退職手当等受給者別支払調書
1,退職手当等受給者別支払調書の提出
 退職手当金等を支給した者で, この法律の施行地に営業所, 事務所その他これらに準ずるもの(以下, 「営業所等」といいます。)を有するものは, その月中に支給した退職手当金等( 相続税法第 3 条第 1 項第 2 号に掲げる給与をいいます。以下同じ。)について,翌月 15 日までに, 財務省令で定める様式に従って作成した 「退職手当等受給者別支払調書」を, 当該調書を作成した営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
 ただし, 退職手当金等の金額が財務省令で定める額以下である場合は, この限りではありません。

2, 提出省略範囲
 退職手当等受給者別支払調書の税務署への提出省略基準は 100 万円以下となっていますが, 退職手当等の受取人が複数いる場合には, 受給者ごとに判定します。

3, 退職手当金等の支給を受けた者
 相続税法第 3 条第 1 項第 2 号の被相続人に支給されるべきであった退職手当金等の支給を受けた者とは, 次に掲げる場合の区分に応じ, それぞれ次に掲げる者をいいます。
 @ 退職給与規程その他これに準ずるもの(以下, 「退職給与規程等」といいます。 )の定めにより, その支給を受ける者が具体的に定められている場合・・・当該退職給与規程等により支給を受けることとなる者
 A 退職給与規程等により支給を受ける者が具体的に定められていない場合又は当該被相続人が退職給与規程等の適用を受けない者である場合
 イ 相続税の申告書を提出する時又は国税通則法第 24条から第 26条までの規定による更正若しくは決定をする時までに当該被相続人に係る退職手当金等を現実に取得した者があるとき・・・その取得した者
 ロ 相続人全員の協議により当該被相続人に係る退職手当金等の支給を受ける者を定めたとき・・・その定められた者
 ハ イ及びロ以外のとき・・・その被相続人に係る相続人の全員
 (注) この場合には, 各相続人は, 当該被相続人に係る退職手当金等を各人均等に取得したものとして取り扱われます。

4, 弔慰金等の名目での支給がある場合の「退職手当金等受給者別支払調書」の提出義務
 弔慰金, 花輪代, 葬祭料など(以下「弔慰金等」といいます。 )は, 本来的にはその性格に照らし, 相続税の課税対象にはならず, 「退職手当金等受給者別支払調書」 の提出の対象にもなりませんが, 弔慰金等の名目で相続人に支給されるものでも, 実質上, 退職金に代えて支払われたと認められる場合は, みなし相続財産(退職手当金)として, 相続税の課税価格に算入されるとともに, 支払調書の提出の対象となります。

 以上

回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
〒810-0073福岡市中央区舞鶴2-4-13九州DKビル6階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
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