1,業績連動給与に該当しない退職給与(法基通9-2-27の2)
いわゆる功績倍率法に基づいて支給する退職給与は,法第34条第5項((業績連動給与))に規定する業績連動給与に該当しませんから,同条第1項((役員給与の損金不算入))の規定の適用はありません。
(注) 本文の功績倍率法とは,役員の退職の直前に支給した給与の額を基礎として,役員の法人の業務に従事した期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給する金額が算定される方法をいいます。
2,役員に対する退職給与の損金算入の時期(法基通9-2-28)
退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は,株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。ただし,法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理をした場合には,その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められます。
(注)退職金の額が具体的に確定する事業年度より前の事業年度において,取締役会で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合であっても,未払金に計上した時点で損金の額に算入することはできません。
3,退職年金の損金算入の時期(法基通9-2-29)
法人が退職した役員又は使用人に対して支給する退職年金は,当該年金を支給すべき時の損金の額に算入すべきものですから,当該退職した役員又は使用人に係る年金の総額を計算して未払金等に計上した場合においても,当該未払金等に相当する金額を損金の額に算入することはできません。
4,使用人兼務役員に支給した退職給与(法基通9-2-30)
法人が退職した使用人兼務役員に対して支給すべき退職給与を役員分と使用人分とに区分して支給した場合においても,法第34条第2項《役員給与の損金不算入》の規定の適用については,その合計額によりその支給額が不相当に高額であるかどうかを判定します。
5,厚生年金基金からの給付等がある場合(法基通9-2-31)
退職した役員が,その退職した法人から退職給与の支給を受けるほか,既往における使用人兼務役員としての勤務に応ずる厚生年金基金からの給付,確定給付企業年金法第3条第1項《確定給付企業年金の実施》に規定する確定給付企業年金に係る規約(以下この章において「確定給付企業年金規約」といいます。)に基づく給付,確定拠出年金法第4条第3項《承認の基準等》に規定する企業型年金規約(以下この章において「確定拠出企業型年金規約」といいます。)に基づく給付又は適格退職年金契約に基づく給付を受ける場合には,当該給付を受ける金額(厚生年金基金からの給付額については,公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63号)附則第5条第1項《存続厚生年金基金に係る改正前厚生年金保険法等の効力等》の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第1条《厚生年金保険法の一部改正》の規定による改正前の厚生年金保険法(以下この章において「旧効力厚生年金保険法」といいます。)第132条第2項《年金給付の基準》に掲げる額を超える部分の金額に限ります。)をも勘案してその退職給与の額が不相当に高額であるかどうかの判定を行います。
6,役員の分掌変更等の場合の退職給与(法基通9-2-32)
法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については,その支給が,例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど,その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し,実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には,これを退職給与として取り扱うことができます。
(1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除きます。)になったこと。
(2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件の全てを満たしている者を除きます。)になったこと。
(3) 分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除きます。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。
(注) 本文の「退職給与として支給した給与」には,原則として,法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれません。
以上
回答者 税理士 鵜池 隆充
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