税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《令和元年8月号》
定期保険及び第三分野保険に係る 保険料の取扱いの改正

1 , 改正通達の適用時期
改正後の法基通及び連基通の取扱い(解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険を除きます。 ) は, 令和元年 7 月 8 日以後の契約に係る 定期保険又は第三分野保険の保険料について適用されますので, 同日前の契約に遡って改正後の取扱いが適用されることはありません。
また, 法基通 9-3-5 の(注) 2 及び連基通 8-3-5 の(注) 2 に定める 解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険の保険料については, 令和元年 10 月 8 日以後の契約に係る ものについて, 改正後の取扱いが適用されますので, 同日前の契約に遡って改正後の取扱いが適用されることはありません。
なお, 上記のそれぞれの日前の契約に係る 定期保険又は第三分野保険の保険料については, 引き続き , 改正前の法基通若しくは連基通又は廃止前の各個別通達の取扱いの例によることとなります。

2, 改正通達の適用日前の契約に係る 定期保険等について, 改正通達の適用日以後に契約内容の変更があった場合
改正通達の適用日前の契約に係る 定期保険等の保険料については, 改正通達の適用日以後に契約内容の変更があった場合であっても, 改正前の取扱い又は廃止前の個別通達の取扱いの例によりますので, 改正後の取扱いは適用されません。

3, 改正通達の適用日前の契約に係る 定期保険等について, 改正通達の適用日後に, 転換, 払済保険への変更, 契約の更新, 保険給付のある 特約の付加があった場合
契約の転換は, 既契約の保険契約を新たな契約に切り替える ものですので, 改正通達の適用日前の契約に係る 定期保険等を改正通達の適用日後に転換した場合には, 転換後の契約については, 改正後の取扱いによることとなります。 このことは, 改正通達の適用日後に払済保険に変更した場合も 同様です。
次に, 契約の更新も, 既契約の保険契約を新たな契約に切り替える ものですので, 改正通達の適用日前の契約に係る 定期保険等を改正通達の適用日後に更新した場合には, 更新後の契約については, 改正後の取扱いによるのが相当と 考えられます。 ただし, 実務的には自動更新される 場合が多く , 契約者にとっては新たな保険に加入したとの認識もないため, 自動更新を前提に保険に加入した契約者の予測可能性の確保等の観点から, 保障内容に変更のない自動更新については新たな契約とは取り扱わずに, 改正前の取扱いによって差し支えありま せん。
なお, 改正通達の適用日前の契約に係る 定期保険等について, 改正通達の適用日後に, 保険給付のある 特約を付加した場合には,その特約に係る 保険料については, 改正後の取扱いによることとなります。

4 , 保険契約の転換
いわゆる 契約転換制度により, 現在加入している 養老保険を定期保険又は第三分野保険に転換した場合には, 養老保険の保険料について資産計上した金額のうち, 転換後の定期保険又は第三分野保険の責任準備金に充当される 部分の金額(充当額) を超える 部分の金額を転換日の属する 事業年度の損金の額に算入すること ができ,その上で, 充当額に相当する 部分の金額については, 転換後の定期保険又は第三分野保険に係る 保険料の一時払いをしたものとして, 法基通 9-3-5 及び 9-3-5 の 2 の例によることとなります(法基通 9-3-7) 。
この充当額(転換価格) については, 前納金として扱い転換後契約の応当日に各期間の保険料に充当していく 方式(保険料充当方式) と, 転換後契約の保険料の一部の一時払いとする 方式(一部一時払方式) があるよう ですが,いずれの方式であっても 転換後契約が定期保険又は第三分野保険である 場合には,その充当額(転換価格) の全額を資産に計上し, 資産計上した金額のうち転換後の各事業年度に対応する 部分の金額が当期分支払保険料の額として法基通 9-3-5 の 2 の本文の取扱いによることとなります(法基通 9-3-5 の 2(注) 4) 。ところで, 転換後契約については, 上記の充当額(転換価格) のほかに平準保険料を支払う のが一般的なよう ですが,そのような場合には,この平準保険料を合わせた額を当期分支払保険料の額として法基通 9-3-5 の 2 の本文の取扱いによることとなります。
なお, 転換後契約に係る (最高) 解約返戻率については, 転換時に保険会社から 示さ れる転換後契約に係る 解約返戻金相当額について,それを受ける こととなるま での間に支払う こととなる 保険料の額の合計額で除した割合によることとなります。
また, 契約の転換は, 既契約の保険契約を新たな契約に切り替える ものですので, 転換のあった日を保険期間の開始の日として資産計上期間や取崩期間を判定することとなりますが, 転換後の定期保険又は第三分野保険の最高解約返戻率が 85%超の区分となる 場合でも,同通達の表の資産計上期間の欄の(注) に定める 資産計上期間を最低でも 5 年間とする 取扱いの適用はありません(法基通 9-3-7) 。

5,その他
上記の他, 定期保険及び第三分野保険に係る 保険料の取扱いに関する FAQについては,国税庁のホームページをご確認く ださい。
http://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/teikihoken_FAQ/index.htm

                                 以上

回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
〒810-0073福岡市中央区舞鶴2-4-13九州DKビル6階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
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