税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《令和4年11月号》
贈与等の場合の譲渡所得等の特例

T 贈与等の場合の譲渡所得等の特例 
1,次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除きます。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には,その者の山林所得の金額,譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については,その事由が生じた時に,その時における価額に相当する金額により,これらの資産の譲渡があったものとみなされます。
一 贈与(法人に対するものに限ります。)又は相続(限定承認に係るものに限ります。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限ります。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限ります。)

2,居住者が上記の資産を個人に対し上記1二の対価の額により譲渡した場合において,当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額,譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは,その不足額は,その山林所得の金額,譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上,なかったものとみなされます。

U 時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲
上記T1二の政令で定める額は,上記T1の山林又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡の時における価額の二分の一に満たない金額とされます。

V 財産の拠出
上記T1一の贈与には,一般財団法人の設立を目的とする財産の拠出を含むものとされます。

W 低額譲渡
上記T1二の「対価」には,所得税法第36条第1項《収入金額》に規定する金銭以外の物又は権利その他経済的な利益も含まれますから,贈与名義による法人に対する資産の移転であっても,当該移転に伴い債務を引き受けさせることなどによる経済的な利益による収入がある場合には,当該移転については,上記T1一の規定の適用はなく,当該経済的な利益による収入に基づいて上記T1二の規定の適用の有無を判定します。

X 同族会社等に対する低額譲渡
山林(事業所得の基因となるものを除きます。)又は譲渡所得の基因となる資産を法人に対し時価の2分の1以上の対価で譲渡した場合には,上記T1二の規定の適用はありませんが,時価の2分の1以上の対価による法人に対する譲渡であっても,その譲渡が所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認》の規定に該当する場合には,同条の規定により,税務署長の認めるところによって,当該資産の時価に相当する金額により山林所得の金額,譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算することができるとされています。

Y 一の契約により2以上の資産を譲渡した場合の低額譲渡の判定
法人に対し一の契約により2以上の資産を譲渡した場合において,当該資産の譲渡が上記T1二に掲げる低額譲渡に該当するかどうかを判定するときは,たとえ,当該契約において当該譲渡した個々の資産の全部又は一部について対価の額が定められている場合であっても,当該個々の資産ごとに判定するのではなく,当該契約ごとに当該契約により譲渡したすべての資産の対価の額の合計額を基として判定します。

Z 借地権等の設定及び借地の無償返還
上記T1に規定する「譲渡所得の基因となる資産の移転」には,借地権等の設定は含まれませんが,借地の返還は,その返還が次に掲げるような理由に基づくものである場合を除き,これに含まれます。
(1) 借地権等の設定に係る契約書において,将来借地を無償で返還することが定められていること。
(2) 当該土地の使用の目的が,単に物品置場,駐車場等として土地を更地のまま使用し,又は仮営業所,仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用していたものであること。
(3) 借地上の建物が著しく老朽化したことその他これに類する事由により,借地権が消滅し,又はこれを存続させることが困難であると認められる事情が生じたこと。

                                          以上

回答者 税理士 鵜池 隆充
プラス事務所税理士法人 代表税理士 鵜池隆充
〒810-0001 福岡市中央区天神2-14-8 福岡天神センタービル3階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
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