T 贈与税
1,概要
負担付贈与とは,受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。
個人から負担付贈与を受けた場合は,受贈者は,贈与財産の価額から負担額を控除した価額に贈与税が課税されることになります。
2,課税価格
この場合の課税価格は,贈与された財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には,その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した価額によることになっています。
また,贈与された財産が上記の財産以外のものである場合は,その財産の相続税評価額から負担額を控除した価額となります。
なお,負担付贈与があった場合においてその負担額が第三者の利益に帰すときは,その第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになります。
U 所得税(譲渡所得)
1,概要
譲渡所得の基因となる資産を負担付で贈与した場合,その負担が贈与者に経済的利益をもたらすときは,贈与者は,その資産を有償譲渡したことになります。
2,譲渡収入金額
借入金などの債務を受贈者又は買受者に引受けさせる条件で資産を贈与又は譲渡した場合には,債務などが消滅したことによる経済的利益が収入金額となります。
[算式]
譲渡収入金額=受領した金銭等の額+借入金等の債務の消滅による経済的利益の額
V 消費税
1,概要
消費税は,国内において事業者が事業として対価を得て行われる取引に課税されます。
2,「対価を得て行われる」の意義
「対価を得て行われる」とは,資産の譲渡,資産の貸付け及び役務の提供に対して反対給付を受け取ることをいいます。
負担付き贈与については,その負担部分を対価として行われる取引になります。
3,負担付贈与
消費税法施行令第2条第1項第1号《負担付き贈与による資産の譲渡》に規定する
「負担付き贈与」とは,その贈与に係る受贈者に一定の給付をする義務を負担させる資産の贈与をいいます。
なお,事業者が他の事業者に対して行った広告宣伝用の資産の贈与は,同号に規定する負担付き贈与には該当しません。
(注) 事業者が資産を贈与(法人のその役員に対する贈与を除きます。)した場合において,当該資産の贈与が負担付き贈与に該当しない限り,当該資産の贈与は,資産の譲渡等に該当しません。
以上
回答者 税理士 鵜池 隆充
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