T 欠損金額の意義(法法2十九)
欠損金額とは,各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいいます。
U 解散した場合の欠損金額(法法59C)
内国法人が解散した場合において,残余財産がないと見込まれるときは,その清算中に終了する事業年度(法人税法第59条第1項から第3項の規定の適用を受ける事業年度を除きます。以下「適用年度」といいます。)前の各事業年度において生じた欠損金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に相当する金額(当該相当する金額がこの規定及び法人税法第62条の5第5項の規定を適用しないものとして計算した場合における当該適用年度の所得の金額を超える場合には,その超える部分の金額を控除した金額)は,当該適用年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入します。
V 解散の場合の欠損金額の範囲(法令117の5)
上記Tの欠損金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額は,第一号に掲げる金額から第二号(上記Tの適用年度が法人税法第64条の7第1項第1号から第3号まで(欠損金の通算)の規定の適用を受ける事業年度である場合には,第三号)に掲げる金額を控除した金額となります。
一 適用年度終了の時における前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額の合計額(当該適用年度終了の時における資本金等の額が零以下である場合には,当該欠損金額の合計額から当該資本金等の額を減算した金額)
二 法人税法第57条第1項(欠損金の繰越し)の規定により適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される欠損金額
三 適用年度に係る法人税法第64条の7第1項第4号に規定する損金算入欠損金額の合計額
W 残余財産がないと見込まれるかどうかの判定の時期(法通12-3-7)
法人税法第59条第4項《会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入》に規定する「残余財産がないと見込まれる」かどうかの判定は,法人の清算中に終了する各事業年度終了の時の現況によります。
X 残余財産がないと見込まれることの意義(法通12-3-8)
解散した法人が当該事業年度終了の時において債務超過の状態にあるときは,法人税法第59条第4項《会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入》に規定する「残余財産がないと見込まれるとき」に該当します。
Y 適用関係(法法59E,法規26の6三)
上記Tの規定は,確定申告書,修正申告書又は更正請求書にこれらの規定により損金の額に算入される金額の計算に関する明細を記載した書類及び残余財産がないと見込まれることを説明する書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り適用されます。
Z 残余財産がないと見込まれることを説明する書類(法通12-3-9)
法人税法施行規則第26条の6第3号《会社更生等により債務の免除を受けた金額等の明細等に関する書類》に定める「残余財産がないと見込まれることを説明する書類」には,例えば,法人の清算中に終了する各事業年度終了の時の実態貸借対照表(当該法人の有する資産及び負債の価額により作成される貸借対照表をいいます。以下12-3-9において同じです。) が該当します。
(注) 法人が実態貸借対照表を作成する場合における資産の価額は,当該事業年度終了の時における処分価格によりますが,当該法人の解散が事業譲渡等を前提としたもので当該法人の資産が継続して他の法人の事業の用に供される見込みであるときには,当該資産が使用収益されるものとして当該事業年度終了の時において譲渡される場合に通常付される価額によります。
以上
回答者 税理士 鵜池 隆充
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