税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《令和5年8月号》
登録日である令和5年10月1日をまたぐ請求書の記載事項

(問)
当社は,令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受ける予定です。当社は,売上げの請求書について,毎月15日締めとしています。適格請求書等保存方式が開始する令和5年10月1日をまたぐ令和5年9月16日から10月15日までの期間に係る請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。

【答】
適格請求書発行事業者には,登録日以後の取引について,相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じ,適格請求書を交付する義務があります。登録日をまたぐ一定の期間の取引に係る請求書については,登録日以後の課税資産の譲渡等について適格請求書を交付することとなるため,課税資産の譲渡等の対価の額や税率ごとに区分した消費税額等の記載に当たっては,登録日前の課税資産の譲渡等に係るものと登録日以後の課税資産の譲渡等に係るものとに区分するなどの対応が必要となります。
 ただし,ご質問のように,登録日が令和5年10月1日(適格請求書等保存方式の開始日)である場合については,買手において登録日前後の課税仕入れがいずれも仕入税額控除の対象となることから,登録日をまたぐ請求書を適格請求書とするときは,登録日前後の課税資産の譲渡等(令和5年9月16日から30日までの期間と令和5年10月1日から15日までの期間)を区分することなく請求書に記載して交付することも認められます。

(参考)売上税額の計算について,交付する適格請求書に令和5年10月1日以後(10月1日から15日までの期間)に係る課税資産の譲渡等の対価の額や税率ごとに区分した消費税額等を記載していない場合,売上税額の「積上げ計算」ができないことから,「割戻し計算」を行う必要があります(売上税額の「積上げ計算」を行う場合は令和5年9月30日以前と令和5年10月1日以後を区分して記載するなどの対応が必要となります。)。
また,この場合,請求書の交付を受けた相手方においては,令和5年9月30日以前の課税仕入れについては区分記載請求書,令和5年10月1日以後の課税仕入れについては適格請求書として取り扱われますが,令和5年10月1日以後の課税仕入れについて「積上げ計算」を行う場合など,その区分が必要である場合は,取引事実等に基づき金額を合理的に区分して計算するか,売手に同日以後分の適格請求書の交付を求めるなどの対応を行うこととなります。

(注)1,令和5年10月2日以後に登録を受ける場合は,令和5年10月1日から登録日前までに行った課税資産の譲渡等について適格請求書を交付することはできないことから,この場合の登録日をまたぐ請求書は,登録日前後の課税資産の譲渡等を区分して請求書等に記載するなど,登録日以後の課税資産の譲渡等についてのみ適格請求書を交付する対応が必要となります。

2,登録日前後の課税資産の譲渡等を区分して請求書等に記載する場合で登録日以後の課税資産の譲渡等が明確に区分できないときは,例えば,継続的に役務の提供が行われ,一定の期間において検針等に基づき対価の額が確定する取引について検針等の対象となる日数等により対価の額を区分するなど,取引事実等に基づいて合理的に区分 することとなります。

                                          以上

回答者 税理士 鵜池 隆充
プラス事務所税理士法人 代表税理士 鵜池隆充
〒810-0001 福岡市中央区天神2-14-8 福岡天神センタービル3階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
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