請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます。
@ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
A 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引
B 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入
C 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物の取得
D 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物の購入
E 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源又は再生部品の購入
F 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
G 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストにより差し出されたものに限ります。)(※)
H 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)
この場合、帳簿の記載事項に関し、通常必要な記載事項に加え、次の事項の記載が必要となります。
・ 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
例:@に該当する場合、「3万円未満の鉄道料金」
Aに該当する場合、「入場券等」
・ 仕入れの相手方の住所又は所在地(一定の者を除きます。)
例:Fに該当する場合、「〇〇市 自販機」、「××銀行□□支店ATM」
(注)帳簿に仕入れの相手方の住所又は所在地の記載が不要な一定の者は、次のとおりです(令和5年国税庁告示第26号)。
イ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送について、その運送を行った者
ロ 適格請求書の交付義務が免除される郵便役務の提供について、その郵便役務の提供を行った者
ハ 課税仕入れに該当する出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)を支払った場合の当該出張旅費等を受領した使用人等
ニ 上記BからEの課税仕入れ(BからDに係る課税仕入れについては、古物営業法、質屋営業法又は宅地建物取引業法により、業務に関する帳簿等へ相手方の氏名及び住所を記載することとされているもの以外のものに限り、Eに係る課税仕入れについては、事業者以外の者から受けるものに限ります。)を行った場合の当該課税仕入れの相手方
(※)郵便切手類又は物品切手等の引換給付に係る課税仕入れの時期(消基通11-3-7)
法別表第二第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなります。
ただし、次の場合において、郵便切手類又は物品切手等(自ら引換給付を受けるものに限ります。)を購入した事業者が、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしているときは、これが認められます。
(1) 当該郵便切手類の引換給付に係る課税仕入れが、規則第26条の6第2号《適格請求書等の交付が著しく困難な課税資産の譲渡等》に規定する郵便の役務及び貨物の運送に係る課税仕入れに該当する場合
(2) 当該物品切手等の引換給付に係る課税仕入れが、令第49条第1項第1号ロ《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等》に規定する課税仕入れに該当する場合
以上
回答者 税理士 鵜池 隆充
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