こんにちは、本年もどうぞ宜しくお願いいたします。職業柄この時期は、法定調書や個人の確定申告の準備、あるいは2月・3月決算会社の決算対策など、慌ただしい雰囲気が漂ってきます。昨年のことなども思い起こしながら、私にとっては、少し気の引き締まる季節です。
さて、今回は、雇用に関する優遇税制を紹介したいと思います。少し景気の浮上も見えてくる兆しがあります。雇用や給与アップを検討している企業においては、活用できる税制ですので、節税にお役立て頂ければと思います。
【雇用促進税制】
個人事業主又は法人が、雇用者を2人以上かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした場合、1人当たり40万円の税額控除が受けられます。
・青色申告が要件です。
・当期の税額の20%が上限です。
・適用期間は、「平成26年税制改正の大綱」にて、平成28年3月31日までに開始する事業年度まで延長されることとされています(個人は平成28年中)。
・下記、所得拡大促進税制との選択適用になります。
※最低限の2人で80万円の税額控除を受けるには、年間400万円の税額がある必要がありますので注意ください(税額の20%までは控除対象です)。
この制度を適用するための要件は、以下のとおりです。
1. 適用年度とその前事業年度に事業主都合の離職者がいないこと。
2. 「雇用者増加数」を2人以上増加させていること。
3. 「雇用増加割合」を10%以上増加させていること。
4. 「給与等支給額」が「比較給与等支給額」以上であること。
5. 風俗営業等を営む事業主でないこと。
「雇用者」 :雇用保険の一般被保険者(役員の親族等を除く)
「雇用者増加数」 :適用年度末日の雇用者数−前事業年度末日の雇用者数
「雇用増加割合」 :「雇用者増加数」÷前事業年度の雇用者総数
「給与等支給額」 :適用年度に計上される給与等で、雇用者に対して支給するもの
「比較給与等支給額」:前事業年度の給与等支給額
+(前事業年度の給与等支給額× 雇用増加割合×30%)
また、ハローワークとの手続きが必要となります。
1.雇用促進計画を提出
・適用年度の開始後2ヶ月以内に、雇用促進計画を作成し、本社管轄のハローワークに提出します。
・雇用促進計画は、受付印を押印し返却されますので保管します。
2. 雇用促進計画の達成状況の確認
・適用年度終了後2ヶ月以内(個人は3月15日まで)に、ハローワークで雇用促進計画の達成状況の確認を求めます。
・確認に2週間(4月、5月は1カ月程度)かかりますので、確定申告期限に間に合うよう、余裕を持って送付してください。確認後、返却されます。
3. 税務署への確定申告
・確認後の雇用促進計画の写し、適用額明細書を確定申告書に添付して提出します。
【所得拡大促進税制】
個人事業主又は法人が、一定の割合以上従業員への給与を増額した場合、その増加額の10%分の税額控除が認められます。「平成26年度税制改正の大綱」により適用要件が大幅に緩和されています。
・青色申告が要件です。
・当期の税額の20%が上限です。
・適用期間は、平成25 年4 月1 日以降に始まる最初の事業年度から、平成30 年3 月31 日までの間に開始する最後の事業年度までです。
・上記、雇用促進税制との選択適用になります。
この制度を適用するための要件は、以下のとおりです。
@ 「基準事業年度」より、給与等支給額を2%〜5%(※) 増加させていること
※適用1〜2年目は2%、3年目は3%、4〜5年目は5%
A 「給与等支給額」が前年度より増加していること
B 「継続雇用者」の「平均給与等支給額」が前年度より増加していること
「基準事業年度」 :適用1年目の前年度の事業年度
「給与等支給額」 :当期に計上される給与等で、雇用者に対して支給するもの
「継続雇用者」 :適用年度およびその前年度の2年間に渡って在籍している雇用者(継続雇用制度に基づき雇用される者を除く)
「平均給与等支給額」 :以下の計算式で求められる金額を指します。
平均給与等支給額=年間の給与等支給額÷(月別給与等支給対象者数×月数)
※上記の要件のうち、平成26年3月決算の会社については、要件緩和前の基準が適用されます。具体的には、要件@について各期間ともに5%。要件Bについて、日雇いを除く雇用者が対象となります。ただし、当初より改正後の要件を満たしている場合は、2事業年度目に前年分の控除額が上乗せされます。
参照ホームページ
(雇用促進税制:厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/ roudouseisaku/koyousokushinzei.html
(所得拡大促進税制:経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai.htm
ご意見・ご要望などありましたら、下記メールアドレスまでお寄せください。
なお、当記事は、私の私見であることをお断り申し上げます。
回答者 公認会計士 松尾 拓也
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