財務会計の散歩みち

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福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成27年8月号》
番頭のしごと

暑くなりました。今日は、家族サービスも含めて、福岡城址に行ってきました。
バーチャル散歩とかいうものがありまして、iPadで通して見ると当時の城壁や櫓が再現しているという福岡市の企画でございます。

そのようなことで、江戸時代に思いをはせながら、本日の散歩道を歩いてみたいと思います。

私の実家は、大分の中津ですが、丁度私で、9代目でございます。
当時、屋号は「飴屋」と名乗っていたそうです。稼業は質屋でございます。

江戸も末期の方でございますので、お侍さまも、銭金に困窮している時代ではないかと思います。
私の実家には、当時の質屋稼業を物語るものが、沢山あるのですが、それはそれとしまして、江戸時代は、主人、奥方、若旦那、番頭さん、丁稚さん、小坊主などという呼び名があったようです。

今の会社に例えるならば、社長、社長夫人(たまに監査役)、専務取締役(ご子息)、取締役管理本部長、営業係長、新人さん、という体でしょうか。

江戸末期の商家は、たいへん栄えていたそうです。少し前でいうバブルです。
商売人が、お侍の刀を預かり、利子を得、当のお侍は内職をしていたそうです。障子貼り、傘貼り、竹細工などでしょうか。
そのバブっている商人をあちらの稼業の方々が、盗み働きなどをしているような時代かと思います。(※「急ぎ働き」というのは、基本的に人情沙汰を意味するようです。(出処:鬼平犯科帳))

あ、すみません。道草を食いすぎました。

さて、当時の商いの番頭さんは、基本的には、遠い親族ないし、古参の従業員が出世した方が多かったのではないかと察します。
商売人たるもの、「宵越しの金は持たねえ!」なんて、若旦那(ぼんくら)たちが、闊歩する中で、江戸の商いが営まれていたこと想像をします。
ちなみに、宵越しの金を持たないということを英訳すると" Live like there is no tomorrow." (昨日のことは忘れて生きよう!)という意味のようです。

少し話を戻しまして、その番頭さんの仕事を想像してみます。

会社のみんなで稼いだお金を社長と専務でその日のうちに使い切って、翌日は、昼過ぎに酒臭い顔で現れる。翌日には、クラブのママかお姉さんが菓子折りを持って、会社にやってくる。如何せん、社長と専務は会社に来ないものだから、その贈り物が机に積み上がる。
そんな社長が、国会議員になったりする!!

まぁ、今も昔もそんな世の中でございましょうが、
しかし、番頭さんは、常に、うちの稼業のことを考えてございます。
丁稚さんから、小坊主さんから、朝から一生懸命頑張っています。
奥方も皆さんに気を使いながら、和やかに商いをやっていることでございます。

とある朝。
 いつも気風のいいはずの若旦那様が浮かない顔をしています。
 番頭を呼びつけ「おい!うちの帳面はどげんなっとうとや?」
 番頭さんは応えます「はい。なにがでございましょうか?」

   番頭さんは、「金を出せ」とせがむ若旦那に対して、言います。
 「先月は、上得意様のお祝いごとがございまして、店から輪島漆器を送ってございます。」
 「先週は、丁稚の亀吉が、商いをしてきたもので、これから客先に出向かないといけなくなるもので、上下(カミシモ)をしつらえてございます。」
 「昨日は、若旦那のアレが、ツケを払えでいうので、仕方なく12両支払ってございます。」
 「若旦那! まあ遊ぶのもよろしいかとは思いますが… …そろそろ潮時かと存じます。」

   お時間でございます。事の様(ことのさま)を明らかにする「番頭の仕事」でございました。

回答者 公認会計士 松尾 拓也
如水監査法人・如水税理士法人
如水コンサルティング
パートナー
公認会計士・税理士 松尾 拓也
福岡市中央区赤坂 1 丁目 12 番 15 号 福岡読売ビル 9 階 如水グループ内
TEL092-713-4876 FAX092-761-1011
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
※当記事は、著者の私見であることをお断り申し上げます。
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