財務会計の散歩みち

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福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成27年12月号》
情報の失敗談

 こんにちは、今回の失敗談は、「情報」というテーマで進めてみたいと思います。
 「情報の失敗」ということは、少なくとも、話が通じていないということだと思います。

 社長:「経理部長、今月は回ってるのか?」
 部長:「はい、もちろんです。今月も黒字です?」

 明らかに「情報の失敗」が生じています。
 もし、あなたが社長であれば、どんな意味ですか?
 もし、あなたが経理部長であれば、どんな意味ですか?

 少し、裏側を除いてみましょう。
社長は、最近、疑問に感じていることがあります。
最近、メインバンクの支店長がよく来て、「社長、最近調子はどうですか?」と、尋ねられる???

 経理部長は、最近、困っていることがある。
 自らが作った年度予算が、思うように行っていない。メインバンクの担当に、「今回の新規事業は、鳴物入りですから、期待しててください!」と大見得は切ってみたものの。。。

 当社が大赤字と知らない社長が資金繰りの心配をし、もう資金が続かないことに気付かない経理部長が予算の目標利益の心配をする。これは、現実にあり得る話なんです。

 どのようにすれば、お互いが知っているその情報を共有できるのでしょうか。

 また、違う話をしてみます。その会社は、IT企業です。最先端のIT技術を駆使し、お客様サービスや社内システムを築きあげています。
 ものすごい情報量が、瞬時に入ってきて、誰でもそれを見ることができます。
 メールの量も半端ではありません。

 ある時、社長は経理部長に尋ねました。
「この前のあの商談失敗したから、年度の予算変えとってくれ。相当頑張ったんやけどな。。。」
 経理部長は応えます。
「あ〜、あの商談? ・・・何の話ですか??」

社長自らが実務対応している大口の案件の情報について、会社としてはリアルタイムで社内情報を発信しているのに、経理部長は、それを見ていません。

情報発信が多すぎて、社内の人が、何が重要な情報かを判断できないという状況です。どのようにすれば、重要な情報が社内に伝わるのでしょうか。

 このような情報の失敗は、ことの大小はあれ、どの会社にでも生じていることだと思います。大切なのは、そのような失敗を発見した際に、それが改善できるような仕組みを作ることだと思います。
 ● 正しい情報を伝えること
 ● 必要な人に情報を伝えること
 ● ことの重要性や優先順位をわかり易く伝えること
 ● 誤りを見つけて正す仕組み(内部統制)を作ること

 最近新聞紙上を賑わしている大手電機メーカーの事件についても、沢山の情報の失敗が放置された結果、積もり積もって、会社として大きな損害を被ることになっているように思います。
 また、そのような大きな情報の失敗は、きっと会社の会計数値に影響を与えていますので、その会計数値を丁寧に分析することで、失敗の兆候を発見することができるのではないかと思います。

 そのような視点で、一度、自社の情報管理を見つめ直してみるのも、良いかもしれません。

回答者 公認会計士 松尾 拓也
如水監査法人・如水税理士法人
如水コンサルティング
パートナー
公認会計士・税理士 松尾 拓也
福岡市中央区赤坂 1 丁目 12 番 15 号 福岡読売ビル 9 階 如水グループ内
TEL092-713-4876 FAX092-761-1011
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
※当記事は、著者の私見であることをお断り申し上げます。
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