財務会計の散歩みち

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福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成28年4月号》
財務会計の散歩道−"Fintech"(フィンテック)

 こんにちは、近年Fintech(フィンテック)というキーワードが、よく取り上げられています。Fintechとは、FinanceとTechnologyを掛け合わせた造語で、情報技術(IT)を駆使して金融サービスを生み出したり、見直したりする動きのことだそうです(wikipediaより)。
 例えば、スマホのアプリケーションで、カード決済ができるようになったり、仮想的なマネーで決済ができるようになったり、あるいは、金融機関との取引データを取り込んで、個人の資産運用が管理できるようになったり、自動審査での融資が受けられるようになったり、インターネットを通じて、事業のアイデアを一般の方に公表して、寄付や投資を募集したりといった新しい金融取引が行われています。

 この動きが、会計の分野でも現実になりつつあります。
 これまでは、会計や簿記の知識のある人材に、会計記帳に必要な資料を提供し、記帳や決算あるいは税務申告を行ってきました。そこでは、会計ソフトは、制度に従った「記録」と「集計」をすることがメインの機能でした。

 情報技術が、各段に発達したことで、会計ソフトに新しい機能が追加されつつあります。

 「データの自動収集」
 銀行取引やカード決済あるいは電子マネーの取引記録をインターネットやカードが記録している電子データから、会計ソフトが自動的に取り込む仕組みが確立されています。また、紙媒体の資料についても写真やスキャンデータで、収集することができます。

 「自動仕訳」
 自動的にあるいは、スキャン等で収集されたデータについて、相手先情報、金額、過去の仕訳実績等のデータを参考に、AIというIT技術を利用し、会計ソフトが自分で仕訳を考えるようになります。
 また、写真データやスキャンデータの入力については、1仕訳20円〜30円の格安の値段で、入力の委託をすることができます。自社で従業員を雇用したり、税理士事務所に記帳代行を委託するより、コストやリスクが低減できる可能性が大いにあると思います。

 「クラウドアプリケーションの活用」
 クラウド型の会計ソフトになりますので、会計上の資料データや仕訳データなどが、すべて、クラウド上のサーバに保管されます。そうしますと、まず、あらゆる人がオンタイムでクラウトにあるデータにアクセスすることができます。従って、経営者、経理担当者、税理士などが、常に同じデータを参照・加工できるようになります。また、会計ソフトもクラウド上にありますので、自動的にアップデートされていきます。従って、常に最新の会計ソフトを利用することができます。
 近年情報セキュリティ技術は、各段に進歩しており、自社サーバやPCあるいはUSB等のデバイスにデータを保管するよりも、クラウドサーバに保管をした方が、情報漏えいやデータ紛失のリスクが低減されるようなケースも十分に考えられます。

 「アプリケーション・インターフェース」
 クラウド型の会計ソフトは、また、他のアプリケーションからにデータ取込やデータ転送に関して、開放的な設計となっているものが多く、他のクラウド型の販売管理システムや給与システム等とも、連携させやすく、様々な企業管理が高いコストをかけずに自動化できる可能性があります。

 これらの会計ソフトの変化は、技術進歩に伴うものですので、すべての会計ソフトが新しい技術にとってかわられるのも時間の問題だろうと考えています。そうすると、企業規模の大小に関わらず、記帳作業は自動化され、会計資料や集計データをオンタイムで共有できるような世界となります。
 小職も、今年からクラウド会計への移行を急ぎ取り組んでいるところです。

回答者 公認会計士 松尾 拓也
まつお会計事務所
公認会計士 松尾 拓也
福岡県福岡市博多区綱場町6-15 川野ビル1F
TEL092-272-0710 FAX092-272-0711
HP: http://smaken.jp/user/usc_to.cgi?up_c1=43440
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
※当記事は、著者の私見であることをお断り申し上げます。
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