財務会計の散歩みち

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福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成28年8月号》
財務会計の散歩道−スキーム物語り

 今回の散歩みちは、 「スキームの検討」を取り上げたいと思います。
 事業経営に関するご相談をお受けする中で、私は専ら財務に関する件をお引受するのですが、経営者が日ごろ考えているのは、財務面のことだけではありません。

 事業統合に関するご相談です。
 ある経営者同士が意気投合し、ひとつのブランド戦略を立ち上げるため、事業統合を図ろうというお話です。

 広域の販売チャネルと仕入先に対する購買力を持つ A 社は、商品開発力のある B 社に話を持ち掛けました。
 「弊社は、貴社の商品「旅姿」が、大変気に入りました。あの6シリーズの旅姿をですね、弊社の販売網を活用して売り出せば、きっと良い商売ができることと確信しております。 」社長は、続けます。
 「むしろ、会社の屋号に「旅姿」を加えて、新しいブランドとして、立ち上げたいと思いますが、いかがでしょうか。 」

 B 社の社長は、あまりガツガツされた方ではないようで、 「皆さまに使ってもらえるものならば、是非、賛同をいたしたいと思います。 」とのご返事を頂いたようです。

 A 社の社長から、ご相談を頂き、早速、財務デューデリジェンスのお見積りを作っておりましたところ、A 社社長から、お電話を頂きました。
 「先生、あの件ですが、もう少し待って頂けますか?」
 「どうされたんですか?」
 「一応、新会社を作るスキームで、それぞれの会社を新会社にクッツケルスキームで話を進めていたのですが、急遽、先方さんが違う話をされだしたんですよ!」
 「そうなんですか?何が変わられたんですか?」
 「ちょっと、今日は、ゆっくりお話しする時間がないので、今度また。 」

【新会社設立、当事会社をその子会社とするスキーム】

 一、当事会社 A 社、B 社間にて、 「株式移転」に関する契約を締結します。
 一、A 社と B 社は、共同して新会社「旅姿.com」を新設し、同時に、A 社並びに B 社の株式をすべて「旅姿.com」へ移転します。
 一、A 社及び B 社の株主は、その対価として、 「旅姿.com」の株式を移転する株式と等価の価値で引受けます。

 そうしますと、 「旅姿.com」の下に、A 社と B 社が 100%子会社としてぶら下がり、それぞれの株主は、 「旅姿.com」の株主として存在することになります。
 この手法(スキーム)では、それぞれの株主が、金銭対価のやり取りをすることなく、事業統合が完成します。新設する会社も株式の買い取り資金などは不要となります。
 また、一定の基準を満たせば、株主の方は、株式の移転に対して、株式の譲渡所得を支払うことなく、ことを進めることができます。

 ただ、今回のケースでは、B 社の都合により、違う手法(スキーム)でなければいけなくなったようです。

【Quiz】
 今回は、少し短めですが、読者の皆さまには、その理由を考えて頂きたいと思います。
 その理由が、わかった方は、小職までメールを頂ければと思います。
 回答は、次回といたしますが、ご回答の感想は返信したいと思います。
 少し、趣向が異なりますが、考えてみてください。

 ※ 当記事は、著者の私見並びにフィクションであることをお断り申し上げます。実在の会社、個人とは何の関わりもございません。

【事務所移転のお知らせ】
 弊職に関することになりますが、7 月吉日をもって、事務所を移転いたしました。かつてより、協業している会計士仲間であります、 「如水グループ」に、事務所を移し、今秋を目途に、弊職の税務業務も事業統合する予定でございます。
 つきましては、新しい所在地等につき、略儀ながら、報告いたします。

回答者 公認会計士 松尾 拓也
如水グループ まつお会計事務所
公認会計士 松尾 拓也
福岡市中央区赤坂 1 丁目 12 番 15 号 福岡読売ビル 9 階 如水グループ内
TEL092-713-4876 FAX092-761-1011
HP: http://smaken.jp/user/usc_to.cgi?up_c1=43440
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
※当記事は、著者の私見であることをお断り申し上げます。
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