財務会計の散歩みち

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福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成28年10月号》
財務会計の散歩道−スキーム物語り(再提案)

【A 社の問答】  ・B 社の旅姿事業を A 社の販売網を活かして、大事業に育てる
 ・「旅姿.com」という独立した会社形態で、確固たるブランドを構築する
 A 社は、 「株式移転」という形で、旅姿.com という大構想を提案しましたが、B 社の賛成は得られませんでした。

旅姿2

旅姿2

 このケースだと、A 社株主が旅姿.com の株式(議決権)の 7 割を占めることになりました。B 社株主にとって、自社の重要な意思決定ができないことになり、賛同を得られませんでした(支配権) 。
 また、B 社は、旅姿事業以外の事業も営んでおり、これに A 社株主の了解が必要となるのは困るとのことでした。
 そして、税理士に確認したところ、このスキームでは、株主に株式の譲渡所得が発生する可能性が高いとのことで、その資金の手当が付きませんでした。

 このように、思ったようには、行きませんでしたが、思い切って提案したことで、B 社の内情を伺うこともできました。A 社の社長は、ひとつずつ、解決の道を考えました。

 「支配権の問題」
 当初の提案では、A 社株主が、議決権の 7 割くらいと保有することになり、B 社株主にとって好ましいものではありませんでした。ただ、A 社がやりたいことは、旅姿事業を大事業に育てることです。従って、株主としての権利は、対等で全然構いません。いや、そうは言いながら、旅姿事業のブランド戦略については、任せてもらわないといけません。

 「B 社の他事業の問題」
 B 社は、 旅姿事業の他に、 複数の事業を展開しており、 そこは渡せないということでした。A 社としても、他事業には興味がありません。そうしますと、S 社から旅姿事業だけを分離すればよいということになります。
 でも、疑問が浮かびます。
 旅姿事業の技術を占有させてもらえばよいのですが、誰が技術を持っているんでしょう? 特許権や許認可権は、移すことができるんでしょうか?

 「所得税の問題」
 税理士にも確認してみましたが、旅姿事業を移転すると、B 社株主には譲渡所得が発生するようです。旅姿事業の事業戦略の決定権を持つためには、事業として渡してほしい。しかし、事業を渡すと株主に所得税が発生する。
 社長は考えました。B 社株主にとって、その税金を負担するだけのメリットがあるようにするには、どうすればいいのだろうか?

 次の B 社との打ち合わせは、来週です。A 社からの再提案です。
 しかし、A 社の社長にも、欲があります。
 「旅姿.com で、一発勝負したい!」

 筆者も前置きなしに、ストーリーを組んでおります。来月、打合せの資料をお見せしたいと思います。それでは。

回答者 公認会計士 松尾 拓也
如水グループ まつお会計事務所
公認会計士 松尾 拓也
福岡市中央区赤坂 1 丁目 12 番 15 号 福岡読売ビル 9 階 如水グループ内
TEL092-713-4876 FAX092-761-1011
HP: http://smaken.jp/user/usc_to.cgi?up_c1=43440
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
※当記事は、著者の私見であることをお断り申し上げます。
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